9:00~19:00/木曜・日曜・祝日休診
※水曜午後18:00まで

クリニックブログ

口腔機能発達不全症とは?

みなさんこんにちは。
歯科衛生士の宮本です。
最近は少し涼しく過ごしやすくなりましたね。

みなさんは「口腔機能発達不全症」という言葉をご存知でしょうか。
お口の器官に異常や障害がないのに、食べる、話すなどのお口の機能の発達が不十分、もしくは正常なお口の機能が獲得できていない状態を「口腔機能発達不全症」と定義しているそうです。

その原因として近年大きな関心が寄せられているのが、口呼吸と口唇閉鎖不全です。
この2つはお口に悪影響を与えることで知られています。

具体的にはどのような影響があるのでしょうか。

①食べ方への影響
口をモグモグ動かし、よく噛んで食べると、お口周りの筋肉が良く動き、唾液が多量に出て、消化・吸収を助ける上に自浄作用が働きます。口唇閉鎖がきちんとできないと、よく噛んで飲み込むことができず、口を開けたままクチャクチャと噛んですぐ飲み込む食べ方になってしまいます。

②鼻、喉への影響
鼻詰まりが原因となり口呼吸が起こることがあります。また、反対に習慣的な口呼吸や口唇閉鎖不全により免疫システムが障害され、アレルギー性鼻炎や喘息など、鼻や喉に異常をきたす疾患を引き起こすこともあります。

③飲食習慣
口呼吸や口唇閉鎖不全があると、うまく噛めず咀嚼の回数も減るので、早食いになったり、食べたあとにお口の中に食物がずっとと残ったりします。あるいはよく噛めないことが、軟らかいものを好むことや偏食の原因になります。

④歯、歯肉の影響
口呼吸により、口腔内が乾燥することでむし歯菌が増加します。喉の渇きを潤すために、糖分を含む飲料やスポーツドリンクなどを頻繁に飲むと、広範囲のむし歯が発生します。
また、口唇閉鎖不全により唾液の分泌量が減少すると、歯周病菌が増加するので歯周疾患のリスクも高くなります。口呼吸の人は鼻呼吸の人に比べて歯面が乾燥しやすいので、歯面の着色が特に前歯部に起こりやすくなります。口呼吸が習慣化してしまうと、正常な成長ができず歯並びに悪影響を与えることもあります。

⑤口臭
習慣性の口呼吸および鼻咽頭疾患による口呼吸のいずれの場合も、お口の中が乾燥し、唾液分泌量の低下、口腔細菌の増加をもたらすため、口臭の原因となります。

⑥口唇の乾燥
呼吸のたびに乾燥した空気が通過するので口唇が乾燥します。
口唇に出血やひび割れがみられることもあります。

⑦顔貌への影響
口唇閉鎖不全がみられる小児には、そうでない小児と比べて、鼻が低い、口元が突出している、顎が後方に下がっているという特徴がみられるとした調査もあります。これらの特徴は3歳の時点で出現することが分かっています。

⑧全身的弊害
口呼吸や口唇閉鎖不全があると、ほこりやウイルスを含む乾燥した空気が扁桃リンパ組織を直撃するため、外敵から身体を守る免疫系に異常を引き起こすと考えられています。
小児に関しては、口呼吸になると呼吸数、血中酸素、歩行距離が低下する、あるいは喘息口呼吸との関連を指摘する報告もあります。さらには、不良姿勢や胸郭の変形、精神面への影響に関する報告もあります。
一方、成人では、口呼吸があると気管支喘息のリスクが約2倍となり、それにアレルギー性鼻炎が加わると4倍以上になるといわれています。肥満や日中の眠気、睡眠時無呼吸症候群との関連も指摘されています。
このように口呼吸はお口の中だけではなく全身に弊害をもたらすのです

当院では、口唇閉鎖不全がないか、お口の機能に問題がないか調べることが出来ます。
以前のブログでも紹介しておりますので、ぜひこちらもご覧ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
宮本

改編 月刊デンタルハイジーン 2022年12月号