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クリニックブログ

洗口液に配合される殺菌剤について②

みなさまいかがお過ごしですか。歯科衛生士の磯村と申します。

 

いつの間にか春らしい気候になり、暖かくなってきましたね。

寒暖差があり、日によっては汗ばむ陽気の日もありますね。

 

私は2月ごろに以前から挑戦したいと思っていた味噌作りにやっと取りかかることができました。

今回はプラスチックとホーローの容器を使って試してみました。

うまくできあがるかわかりませんが、どうなるか楽しみです。

 

 

前回、ブログを担当した時にはバイオフィルム表面に付着して作用する薬剤を使用した洗口液についてご紹介いたしました。

 

今回は、バイオフィルム深部へ浸透して作用する薬剤を使用した洗口液についてご紹介いたします。

 

こちらは非イオン性を示し、歯面やバイオフィルム表面への吸着は弱く、バイオフィルム表面に浸透し、短時間に殺菌性を示します。

 

代表的な殺菌剤は3つあります。

(1)ポピドンヨード(PI)

ポピドンヨードは、遊離ヨウ素の酸化作用のより細菌のタンパク質合成を阻害し、強い殺菌作用があります。

洗口には0.5%ポピドンヨード溶液を希釈して0.1%ほどで使用します。

口腔細菌全般に対し、強い殺菌作用があります。

ウイルスにも効果があるといわれております。

ハロゲン系殺菌剤である本剤は金属に対する強い腐食作用を、有することから、インプラントあるいは金属の詰め物を多く入れられている方にはお控えいただくことが必要です。

 

副作用としては、ヨードに対するアレルギーをお持ちの方にはアナフィキラシーショックが起こる可能性があります。

甲状腺障害の方にもご使用を避ける必要があります。

その他、発疹、口腔粘膜びらん、口中のあれ等が報告されております。

 

(2)エッセンシャルオイル(EO)

エッセンシャルオイルは植物に含まれる揮発性の芳香物質を含む有機化合物であり、フェノール化合物を主体とする複数の天然由来成分(メントール、サリチル酸メチル、チモール、ユーカリプトール)を含有しており、殺菌作用があります。

エッセンシャルオイルを主成分とした洗口液にリステリン®️があり、リステリンのバイオフィルム内浸透速度を調べた研究では、グルコン酸クロルヘキシジンよりも4.89倍早かったことが報告されております。

また、抗炎症作用に優れ、その作用機序はプロスタグランジン合成抑制作用や遊離活性酸素スカベンジャー作用あるいは好中球活性抑制作用や抗酸化作用などによることが考えられます。

リステリンにはアルコール(エタノール)が含まれた製品と、ノンアルコール製品があります。また、液体歯磨きのシリーズもあります。

副作用として、特にアルコール含有の製品ではドライマウス、味覚障害などが上げられます。

 

(3)トリクロサン(TC)

フェノール系の薬用洗剤で、一般細菌に対する消毒剤として多用されています。

特にグラム陽性菌への作用が強く、脂肪酸合成系酵素を阻害することで細胞壁を破壊し殺菌的に作用します。

プラーク形成を阻害する効果が認められており、洗口液として応用されています。

副作用として、最近の研究でホルモン撹乱物質の可能性が指摘されるほか、抗菌薬に耐性のあるスーパー細菌の生成に関与する可能性が指摘されています。

アメリカのではトリクロサンを含む衛星商品販売を禁止する法律が施行されています。

 

日本でも、2016年以降はトリクロサンを含有する薬用石けんから、これらの成分を含有しない製品への切替えを促すよう要請がありましたので、トリクロサン含有の洗口液にも切替えが促されるようになってきました。

 

これらの殺菌成分が入った洗口液をご利用いただいたことはありますか?

毎日使うものなので、成分も良く、味が好みのものだと使用する度に気分転換になります。

色々試してお気に入りのデンタルケア製品が見つけてみてはいかがでしょうか?

 

最後までご一読いただきましてありがとうございます。

今後とも皆様のお役に立てるよう努めてまいりますのでよろしくお願いいたします。